光の染みを拭く

小説、インスタレーション
2018年

 
「あれ、汚れかな」と思ったら、窓の外からの小さな日差しが、壁に光の染みを作っていた。
──家屋に入り込む太陽の日差しは、床や壁に光の染みを作る。光の染みは、一刻一刻かたちを変え、拭きとり去ることはできない。
滞在制作のあいだ、私は旧平櫛田中邸の掃除をつづけ、「もう誰も住んでいない古い家を掃除する〈私〉」を一人称とした小説を執筆した。『光の染みを拭く』という名前の小説。そして、この小説の言葉によって光の染みを縁取り、田中邸の長い掃除を終えた。

 
DenchuLab.2017
【会期】2018年2月23日(金)〜3月4日 (日)
【会場】旧平櫛田中邸
【主催】でんちゅうず(NPOたいとう歴史都市研究会、一般社団法人 谷中のおかって)
【協力】井原市、平櫛弘子氏、東桜木町会、東京藝術大学大学院保存修復建造物研究室
【助成】アーツカウンシル東京(公益財団法人東京都歴史文化財団)
 作品写真:堂端 徹